著者
石島 嶄
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.136-140, 1971-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
16

山形県新庄市および長野県松本市採取クワ枝条から越冬卵が検出され, ヒシモンモドキ (Hishimonoides sellatiformis ISHIHARA) と命名された新種の昆虫が, クワ萎縮病を媒介することを明らかにした。1) 本種は短期間の罹病株吸汁で病原を高率に獲得し, 個体接種によって健全クワ苗に媒介した。2) 保毒虫は, 25℃において, 接種吸汁1時間で16%, 12~15時間で75%の媒介率を示した。3) 病原の虫体内潜伏期間は, 28℃において21~39日であった。本種は, 病株吸汁後病原を永続して保持し, 一定の潜伏期間を終えた後へい死直前までほぼ連続した媒介を行なった。4) 以上の点から, 本種の本病媒介能力はヒシモンヨコバイにまさると考えられた。