著者
顧 国達 濱崎 實 宇山 満
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.349-357, 1993-10-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
23

生糸世界市場の展開を主な生糸需給国の蚕糸絹業の発展と国際政治経済的諸条件に規定されたものと見る立場から, 1842年「南京条約」の成立から1945年第二次世界大戦の終結までの103年間を世界生糸貿易史の近代として時代区分する。本稿は近代生糸世界市場の成立に関わる諸要因を概括的に検討した上で, 成立期 (1842~72年の31年間) における生糸世界市場の需給関係を, 主な生糸需給国の蚕糸絹業の展開との関連を中心に, 生糸貿易統計をベースにして数量的に明確なものにした。
著者
WEIJUN HU YOSHIKUNI YANAGI MITSUO ARAI KIYOSHI HIRABAYASHI NARUMI YOSHITAKE
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
The Journal of Sericultural Science of Japan (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.127-130, 1987-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

生糸の機械的性質 (強度, 伸度及びヤング率) が約1,800日にわたり, 種々の湿度の下で測定された。生糸の湿度調整は飽和塩溶液を用い, デシケーター中で行った。日数が経つほど生糸の劣化は低湿度より高湿度中で促進される。生糸に含まれるセリシンは多量の水を吸うので, 練糸と比較すると, 強度の低下及び伸度の上昇が著しい。動的弾性率と機械的性質と同様の傾向を示した。
著者
山田 晶子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.266-271, 1997-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

絹と他の繊維素材布の熱伝導率を熱線法により20℃, 65%R. H. の環境で計測した。布の重ね枚数を50枚以上の厚さにすると, 再現性のある計測が可能である。布の構造的な特徴は, 低荷重で計測した布厚さから求められる繊維体積率に表れ, 布の熱伝導率は, 繊維体積率と一定の関係を示した。一般的に, 繊維体積率が増えると, 熱伝導率も高くなるが, 絹では羊毛と同様にその変化が小さく, 綿, 麻, ポリエステルでは変化が大きい。絹と他の繊維素材を比較すると, 絹は羊毛に次いで大きく, ポリエステル, 綿, 麻の順に熱伝導率が高くなることが分かった。布の熱伝導率λkから, 空気分率に相当する熱伝導率λaを引いて求めた繊維固有の熱伝導率λkfは, 絹では0.25と最も低くまた素材毎に固有な値を示した。布の熱伝導率λkと繊維固有熱伝導率λkfは相関を示し (0.68), フィラメント織物の絹・ポリエステルでは, 繊維固有熱伝導率に較べて布の熱伝導率が高く, 綿・羊毛などの紡績糸織物では布の熱伝導率が低い傾向が認められた。絹では, 繊維固有熱伝導率が繊維中最も低いが, 布になると羊毛より高く, ポリエステルより低いという特徴を示した。
著者
山本 好和 熊沢 敦子 坂田 佳子 木下 靖浩 片山 明
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蠶絲學雜誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.27-31, 2002-04-30
参考文献数
8
被引用文献数
2

マダガスカル島原産の観賞用植物であるハナキリンを組織培養することによって生産された単一のアントシアニン (シアニジン-3-アラビノシド) で, アニオン化された絹を染色した。被染素材としてアニオン化された絹を用いることで, 鮮やかな赤色を呈するフラビリウムカチオンが濃着染色されること, およびカチオン色素が繊維中で安定化することを明らかにした。また, フラビリウムカチオンが染色したアニオン化絹に対する種々の金属塩による後媒染および耐光性への影響を調べた。
著者
山崎 泰正 小川 克明 金勝 廉介
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.228-235, 1992-06-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDSPAGE) によりカイコガコクナーゼを分離するとともに, その作用特異性について酸化インシュリンB鎖を基質に用いて調査し, 次の結果を得た。1) 小顋のコクナーゼは, ゲルろ過法と陽イオン交換法において二つの主要な280nmの吸収ピークが現われ, 逆相法においても同様に二つの主要な220nmの吸収ピークが現われた。これらのピークのうち, 大きい方のピークに吸収曲線と対応するプロテアーゼ活性を認めた。活性ピーク面積は全吸収ピークのそれぞれ80%と66%, 88%であった。推定分子量はゲルろ過法で26,400, SDS-PAGEで28,000であった。2) 脱繭液中に含まれるプロテアーゼは, ゲルろ過法および陽イオン交換法において小顋のコクナーゼと極めて近い位置に溶出しSDS-PAGEゲル上でも, このプロテアーゼ活性分画のバンドの位置は小顋のコクナーゼと等しかった。3) 逆相法によって, 酸化インシュリンB鎖をコクナーゼ処理して得られたフラグメントが, トリプシン処理して得られたフラグメントと等しい位置に溶出することを確認した。したがって, コクナーゼの作用特異性はトリプシン様であると考えられた。
著者
今井 暹 鎌田 好二 佐藤 幸子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.274-280, 1975-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

茂原市郊外のヨード工場ならびにモリブデン工場周辺部の養蚕家に出現した異常蚕について研究した結果, つぎの成績を得た。工場群から特定方向の一定距離内の桑園が工場から出る有害物質の被害をうけ, その桑葉を食下した蚕に異常がみられた。この桑葉は50~100ppmという高濃度のヨウ素に汚染され, これを食下した蚕は特異な病状を呈しながら発育を阻害されることを明かにした。したがってこの異常蚕はヨウ素中毒によるものであり, その病状はヨウ素添食蚕と全く一致していた。また中毒死は, 蚕体内にかなり高濃度に留存しているヨウ素にその原因があるように考えられた。
著者
山本 好和 熊沢 敦子 坂田 佳子 木下 靖浩 片山 明
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.27-31, 2002-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

マダガスカル島原産の観賞用植物であるハナキリンを組織培養することによって生産された単一のアントシアニン (シアニジン-3-アラビノシド) で, アニオン化された絹を染色した。被染素材としてアニオン化された絹を用いることで, 鮮やかな赤色を呈するフラビリウムカチオンが濃着染色されること, およびカチオン色素が繊維中で安定化することを明らかにした。また, フラビリウムカチオンが染色したアニオン化絹に対する種々の金属塩による後媒染および耐光性への影響を調べた。
著者
川瀬 茂実 橋本 義文 中垣 雅雄
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.477-484, 1980

軟化病ウイルス (坂城株) を精製純化し, その核酸, たんぱく質の諸性状を調査した結果, 以下の点が明らかとなった。<br>1) 本ウイルスの核酸は単鎖RNAで, ウイルスRNAのS値は33S, 分子量は2.4×10<sup>6</sup>ダルトン, ウイルスのRNA含有率は28.5%であった。<br>2) 本ウイルスの構成たんぱく質は4種類確認され, それらの分子量はそれぞれ約31,000~32,000 (VP1), 41,000~42,000 (VP2), 49,000 (VP3), および68,000~69,000 (VP4) で, VP1が全たんぱく質の約70%を占める主要たんぱく質であった。<br>3) 以上の結果より, 軟化病ウイルス (坂城株) はピコルナウイルスに属するウイルスで, そのクリプトグラムは〔R/1:2.4/29:S/S:I/O〕と決定した。
著者
山本 俊雄 間瀬 啓介 長坂 幸吉 岡田 英二 伊坪 友子 宮島 たか子 榎島 守利 熊井 敏夫 和泉 清二
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.125-132, 1999-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
7 7

高付加価値化・差別化できる絹の新素材開発を目的として, 極細繊度蚕品種「中514号×中515号, 愛称: はくぎん」を育成した。中514号は2化, 広食性の斑紋限性品種であり, 繊度は1.8~1.9dである。中515号は1化性で繊度は1.5d以下になる。また, 両原種とも支25号の血縁度が高く, 近交係数は中514号が47%, 中515号が100%である。「はくぎん」は1998年1月に特徴ある蚕品種として指定された。幼虫の体色は青系, 斑紋は形蚕, 繭色は白色, 繭形は楕円形であり, ちぢらは普通である。「しんあけぼの」に比べて飼育日数は全齢で約1日短く, 収繭量, 繭重, 繭層重などの計量形質は約8割の水準にある。繊度は1.65dと極細で4眠蚕品種としては初めての2d以下の品種である。繊度偏差も著しく小さいので, 極細の高級生糸の生産が可能となり, 新しい絹製品の開発に利用されることが期待される。
著者
渡辺 忠雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.251-256, 1959-08-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

家蚕の突然変異種の1つであるセリシンのみを吐糸するセリシン蚕についてその特異性を正常蚕と比較して研究した。1. セリシン蚕はフィブロインはほとんど吐糸せずセリシンを正常蚕のセリシン量とほぼ同量吐糸することを知つた。2. セリシン蚕の体液の遊離アミノ酸は正常蚕の体液に比較して約10倍のグリシンと数倍のセリン, チロシンを含むがアラニン含量は正常蚕と変らなかつた。3. セリシン蚕の吐糸するセリシンは正常蚕のセリシンと同じアミノ酸組成を示した。4. セリシンは家蚕の体液中の各アミノ酸含量の大小によりそのアミノ酸組成が変化しないと考えた。5. 正常蚕の体液蛋白のアミノ酸組成は哺乳動物の血液蛋白質によく似ており, セリシン蚕の体液蛋白も大体同じ結果が得られた。6. セリシン蚕から分離した正常蚕と通常の蚕との間には特別な相違は認められなかつた。
著者
山田 晶子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.341-346, 1998-08-31 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12

絹布の吸湿速度に及ぼす大気の温・湿度の影響を比較検討した。また, 高温環境での繊維素材別の吸湿速度の特徴も検討した。布の吸湿による重量変化を記録し, 一次の反応速度式から吸湿速度定数を求めた。吸湿過程全体の吸湿速度は, 高温・低湿環境ほど大きく, 低温・高湿環境ほど, 小さくなる傾向を示し, 推定値の結果と一致した。初期吸湿速度は, 後期吸湿速度より大きく, 環境湿度が変わっても, 環境温度が等しければ一定であった。各種繊維素材布の初期吸湿速度の終点での水分率と, 水分吸着曲線が一定勾配で上昇しなくなる点の水分率は等しかった。初期吸湿速度の変化点後の吸湿速度の減少割り合いは, 絹, 羊毛で小さく, 綿, 麻で大きかったことから, 絹は, 低温多湿の気候で着心地が良く, 綿麻は, 高温多湿の夏季に適した衣料素材と言える。
著者
中島 茂
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.381-390, 1931-12-09 (Released:2010-07-01)
参考文献数
10

1. 桑の中には比較的多量の Pectin 質を含み、その含有量は粗纖維、粗灰分などと略伯仲する。2. 其の形態は Free pectin としては極めて少く主として Pectic acid 及び“Pectin in combination with metallic ions”として存在する。3. 之等の總てより誘導された Calcium pectate の化學的性質に就いて、Caの含有量、Uronic anhydride の含量、Furfuraldehyde 及び Music acid の收量、加水分解生成物等に關して研究せるに、其の性質は、他の學者によつて桑以外の植物に就き研究せられたものに類似してゐる。4. このものは從來の桑の分析に於ては極く僅か可溶炭水化物として定量され大部は可溶炭水化物に屬せぬ可溶無窒素物として定量されて來た。5. Pectin は蠶兒には殆ど消化されない。6. 又全 Pectin の含有量は桑の品種、葉の發育、採摘季節土壤水分等に因つて異る。
著者
森 正明
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.320-328, 1981-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
25

イチジク (Ficus carica L.) 生葉よりカイコに対する毒性物質として psoralen を単離・同定した。 psoralen は食下試験により1.0mg/g dry diet の濃度で成育を著しく阻害し, 1頭当り200μgの皮下注射で5齢起蚕を死亡させた。また, この物質の0.3mg/g dry diet 添加によりカイコの摂食が阻害された。
著者
嶋崎 昭典 川久保 八郎 高橋 修
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.83-87, 1975-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
3

接緒回数の分布について, 以下に示すような, いくつかの結果がえられた。注目した緒内で空接緒を含む接緒回数の変化を示す確率をP(Z=k) とおくと, これは一般にP(Z=k)=a1p(a0+a1q)kで示される。ここにpは有効接緒効率 (比率) でqは1-pである。a1は取り出し効率 (比率) でa0は1-a1である。またkは有効接緒が生じるまで繰かえされる接緒数である。さらに, 接緒効率(1-λ), λ=a1pの分布f(λ) は,f(λ)=(α+β+1)!λα(1-λ)β/α!β!で与えられる。ここにαとβは分布のパラメータであり, λの平均値は (α+1)/(α+β+2) で, 分散は (α+1)(β+1)/(α+β+2)2(α+β+3) である。これらのことから, 工場におけるすべての接緒現象の分布P(U=k) は,P(U=k)=(α+β+1)!(α+k)!(β+1)/α!(α+β+k+2)!で与えられた。ここにα, βとkはf(λ)での定義と同じであり, Uは接緒回数を示す確率分布である。ゆえにUの平均値は (α+1)/β, 分散は (α+1)(β+1)(α+β+1)/β2(β-1) となる。
著者
田中 茂男
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.341-344, 1960-08-31 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

サクサン休眠蛹を蛹化後種々の時期に低温処理し或は保温した場合の成虫化について実験を行い次のことを知った。1) 蛹化後50日を経た休眠蛹を, 5℃ に10日から50日間の範囲の低温処理したところ, 接触期間の長いほど, ことに30日間以上において成虫化率が高く, 50日間の低温接触によって100%成虫化した。しかし2.5℃ では接触日数の長短にかかわらず成虫化率は30%前後であった。2) 処理温度を-2.5℃, 1.5℃, 2.5℃, 5℃ および150Cとして, それぞれ30日間接触させたところ, 50Cが最も成虫化の効果が高く-2.5℃ および15℃ がおとることを知った。3) 蚕室内の自然気温下においた休眠蛹は, 松本地方では, 11月中旬に保温すればすでにかなり高い成虫化率を示す。しかし10月初旬では保温100日後においても羽化をみなかった。4) 1化目の休眠蛹と2化目の休眠蛹の休眠性についてみると, 前者が強い休眠性をもつと思われた。
著者
ウイライ サン 須貝 悦治 黄色 俊一
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.265-270, 1990

末期の雌蛹を高温密閉条件で処理し, 羽化後これに正常雄を交配すると, 産下卵の多くが不着色死卵となるが, 十分な空気の供給下では不着色死卵は殆んど発現しない。蛹1頭当りの空気容量が9ml又は20mlの場合には, 35℃で12時間処理すると100%が不着色死卵となった。また, 空気容量を58mlにすると, 不着色死卵の発現はかなり遅れ, 18時間処理で100%となった。このような不着色死卵の多くは正常精子と受精はするが, 核分裂の初期段階で致死し, 胚盤葉形成まで発育しているものはなかった。これに対し, 処理区に混在する着色卵では, 多くのものが孵化能力を有し, 次代への遺伝的影響は認められなかった。
著者
小片 真弓 山田 弘生 深田 哲夫 代田 稔
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.427-432, 1977

1. 有機物を炭素源として大量培養したクロレラを蚕の人工飼料の成分として用いる可能性を検討するために先ず蟻蚕の摂食行動に対する影響をしらべた。<br>2. 寒天ゲル10mlに桑葉粉末1.2gを含ませた飼料を基本とし, この桑葉粉末の一部をクロレラでおきかえたものに蟻蚕を掃立て24時間後の排糞数を求めた。対照区としてクロレラのかわりに同重量のセルロース粉末を含むものを用いた。<br>3. クロレラを含む飼料に対する排糞数はセルロース粉末を含んだものよりも常に少なく, クロレラには蟻蚕の摂食に対する阻害因子の存在することが推定された。<br>4. クロレラ中の摂食阻害因子はクロレラをメタノール抽出することによって一部とりのぞけること及びクロレラの蛋白質区分を用いれば阻害効果が少ないことが判った。<br>5. 実用蚕品種の間にクロレラ中の摂食阻害因子に対する感受性の差のあることが判った。<br>6. 桑葉粉末50%+クロレラ50%の人工飼料に対する蟻蚕の摂食は在来の大豆配合飼料の場合にくらべておとらないことがわかった。これはクロレラを人工飼料の蛋白源として使用する可能性を示している。
著者
山田 弘生 小片 真弓 深田 哲夫 高橋 利〓 代田 稔
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.490-500, 1978

1. クロレラと桑葉粉末を各々50%配合した人工飼料を調製し, 蚕の全齢飼育を試みて在来の大豆配合人工飼料に劣らない成績を得た。<br>2. 本クロレラ配合飼料をミルクカゼイン配合人工飼料と比較することにより, クロレラには蛋白質及び炭水化物以外に蚕の生育に有効な因子のある事が推定された。<br>3. 蚕の飼育経過, 繭質及び収繭率に於いて, 良好な成績を与えるクロレラの配合率は40~70%である事が判った。<br>4. クロレラ配合人工飼料で蚕を飼育する場合, 飼育温度は28~30℃が最適である事が判った。<br>5. 壮蚕期には本飼料中の桑葉粉末を25%にまで減量し, その分をミルクカゼイン・スターチ・セルロース混合物または脱脂大豆で補っても良い事が判った。<br>6. 50%クロレラ配合人工飼料で1,100頭の蚕を全齢飼育してみたところ, 生糸量歩合14.61%の3等格に相当する繭が対掃立89%得られた。また14,000頭の全齢育でもほぼ同様の成績であった。<br>7. 春蚕期に20,000頭の蚕を1~3齢クロレラ配合人工飼料育し, その後農家で4~5齢桑葉育を行ったところ, 全齢桑葉育に近い成績を得た。
著者
小林 勝 山口 定次郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.275-278, 1972

核多角体病ウイルスを接種したカイコの結紮分離腹部にエクジステロンを注射し, 強制的に蛹化させる処理を加えた場合の感染細胞におけるDNA合成を<sup>3</sup>H-チミジンを用いたオートラジオグラムで調べ, つぎの結果を得た。<br>1) 結紮分離腹部の感染数はエクジステロンを注射することにより, エクジステロンを注射しない場合の感染数よりも増加した。<br>2) エクジステロンを注射して15時間を経過した分離腹部の感染細胞核では, 対照のエタジステロンを注射しない分離腹都の感染細胞におけるよりも Virogenic Stroma への<sup>3</sup>H-チミジンの取り込み量と取り込んだ感染細胞数が多かった。したがってNPVに感染したカイコの結紮分離腹部にエクジステロンを注射して蛹化を促したものは, 対照の蛹化処理をしない分離腹部に比較して感染細胞におけるウイルスの増殖が促進されるものと考察された。