著者
大沼 眞廣 石崎 力久 北 愛里紗 北田 文華
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.8-12, 2020 (Released:2020-01-05)
参考文献数
19

毛巣洞は体毛の刺入などによって発生する疾患で,仙骨部に好発する。その手術方法に関してはさまざまな報告があるが,われわれは殿裂の平坦化を目的として transposition flap を施行している。今回この方法を施行した過去約6年間18例に関して,疫学的特徴とともにその術後経過を調査した。結果,当科で治療を行った患者は男性や若年者,肥満者が多く,職業に関しては一定の傾向を認めないという過去の報告と類似した特徴をもっていた。そして毛巣洞手術で最も焦点となる再発率は,18例中,6ヵ月以上の経過観察が可能であった11例で9.1%と十分に低く,transposition flap は有用な方法であると考えられた。一方で創離開を生じる割合は高く,今後はその割合を減少させる方法を検討する必要がある。