著者
三野 彰理 石川 友規 金丸 明博 中島 誠
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.26-29, 2019-11

緊張病は,原因不明の意識障害として診断に至らないことも多いが,発熱や自律神経症状を合併した悪性緊張病として致死的な経過をとる場合があり,適切な診断・治療が必要である.悪性緊張病は昏迷,筋緊張,カタレプシーなどの症状を呈し,発熱や炎症反応,CK 上昇などを伴うため,悪性症候群との鑑別が重要となる.悪性緊張病を疑った場合はベンゾジアゼピン系薬剤の処方を行うと,著明な改善を認めることが多い.今回我々は慢性統合失調症の患者が精神症状の悪化により処方薬を自己中断した後に,悪性緊張病をきたし,ベンゾジアゼピン投与にて改善を見た59歳女性の1例を報告した.