著者
朝倉 光司 本間 朝 山崎 徳和 石川 忠孝
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1321-1326, 2006
参考文献数
16
被引用文献数
7

【背景,目的】本邦におけるヨモギ花粉症とOASの関連を調べる目的で,ヨモギ花粉症の多い室蘭市において調査を行った.【方法】1998〜2002年に市立室蘭総合病院耳鼻科を受診したアレルギー性鼻炎患者のうち,シラカバ,ヨモギおよびカモガヤのいずれかに対する血清特異的IgE抗体陽性のものを調査対象とし,郵送によるOASに関するアンケート調査を行った.【結果】OAS出現頻度は,シラカバ花粉抗原特異的IgE抗体陽性例あるいはヨモギ花粉抗原特異的IgE抗体陽性例がそれぞれの抗体陰性例よりも有意に高かった(シラカバ; 54.5vs23.5%,p<0.0001,ヨモギ; 41.Ovs21.5%, p<0.01).OAS原因食物は,シラカバ特異抗体のみ陽性の患者ではバラ科の果物が多く,ヨモギ特異抗体のみ陽性の患者では,キウイ,メロン,ミカン,セロリ,タマネギなどバラ科以外の食物がほとんどであった.ヨモギLumiwardスコアの高い患者の中に重症なOAS例が多く含まれる傾向を認めた.【結語】ヨモギ花粉感作とOASの密接な関連性が示唆された.