著者
石川 敬史 木原 正雄 渡辺 哲成
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.161-172, 2016-03-28

十文字学園女子大学司書課程では,各学科の専門的学びを活かしながら,図書館の現場とのつながりを重視した学科横断的な教育プログラムを構築している。こうした教育プログラムを司書課程単独で実践することは難しく,図書館関係企業や,地域に位置する書店,公共図書館などと連携を図ることにより可能になる。図書館現場が生きた教材として位置されることにより,学生の学びの成果が図書館の現場に還元され,同時に図書館関係者(図書館員,図書館関係企業社員等)の現場力の向上と,地域における図書館種をこえた図書館関係者同士の関係性構築につながる。こうした視点に立脚し,本稿では2013年度より進めている産学連携による2つの教育実践を報告する。第一は,利用者参画型の「図書館システムづくり」概念の構築を視野に入れ,日本事務器株式会社と連携した図書館システムを活用する教育実践である。第二は,図書館という「館(やかた)」を越えた「移動」する「図書館活動」の現代的意義の分析を視野に入れ,キハラ株式会社と連携したオリジナルブックトラックの制作である。これら企業との産学連携による教育実践を通して,学生と企業社員の学びを考察する。