著者
石川 英輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1273-1276,a3, 2001-12-01 (Released:2011-08-11)

江戸時代の, 水田稲作を中心とした農村地帯の資源循環について述べた。稲作のための豊かな水は, 豊かな山林の生きた土により瀕養され, 水田を潤すとともに人々の生活を支えてきた。そして, そのシステムは今日でも本質的には変わりがない。また, 米とともに収穫された稲わらをはじめとする農産廃棄物は, 有害物質のない貴重な資源として, 農村, 都会で有効に再利用され, 1年以内にはまた土へ戻るという, 物質の循環構造があったるエネルギーは, かつてはほとんどが人力であったが, 環境を汚すようなことはなかった。しかし, 太平洋戦争以降の化石エネルギーの大量消費は, 労働力の削減, 利便性の向上, 産業の近代化に貢献したが, その見返りとして環境の悪化や複雑な社会問題をわれわれに突きつけることとなった。