著者
石松 春代
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.436-443, 2001-09-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

看護学生3年次の卒業期に事例研究を課し, その前後での学生の認識の変化を検討した. 事例研究の直前・直後・論文作成後に62名の学生について, 思考力・自己教育力についての同一の質問紙に回答してもらった.思考力は, 研究直前・直後よりも論文作成後に有意に上昇した. 自己教育力の平均値は, 全体平均得点では研究の時期による差がなく, 項目別で[看護の工夫]が上昇した. また, 学生の[向上・成長状況]の記述から「文献検索と活用ができるようになった」「多くの文献から多様な考えを知り, 知識を深めた」と述べており自己教育力への動機づけができたと推察された. 一方, 教員による論文評価は, 70%以上を到達点と考えると61.3%の学生が該当したことから, 3年生に事例研究を実施することは, 有効であったと考える.今後さらに学生の入学の初期から文献検討や文章表現力の強化に努めたい.