著者
石橋 孝治
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度はプロトタイプ型の簡易岩盤三軸圧縮試験装置(直径10cmの試験片対応)を製作し,原位置での適用を前提とした中規模の室内モデル実験を実施した。根付き試験片部は低強度セメントモルタル(一軸圧縮強度15.4MPa)を,周辺岩盤部はコンクリート(呼び強度24MPa)を用いてモデル岩塊を作製した。根付き試験片が最も単純な1不連続面(円柱軸から60度傾斜)を内在する場合も取り扱った。平成10年度は圧力変換器と油圧ジャッキを装備して,佐賀県多久市の砕石工場内(玄武岩が主体)での原位置岩盤に対する適用実験を行った。軸値からの反力は鉱山重機(自重80トン)にとった。周圧,軸力および変位はデータロガーを介してパソコンに取り込む計測システムを構築しこれを採用した。2年間に渡る一連の実験から明らかとなった事柄を以下に列挙する。1.作成したプロトタイプ型の簡易岩盤三軸圧縮試験装置が計画どおりの機能を有していることを確認した。2.本試験は強度定数を5%程度過小評価する傾向がある。実験の範囲内では強度定数に関して寸法効果は確認されなかった。3.不連続面を内在する試験片の強度は不連続面自身の強度定数の影響を著しく受ける。4.原位置試験から実験手順と計測システムに問題の無いことが確認された。しかしながら,水溶性コーキング材のシール効果は低くシール材の改善が指摘された。重機重量不足のため1本の試験片のみの破壊となった。指摘された問題を解消し,原位置試験の実施実績を重ねることで本試験法の試験技術を確立したい。