著者
吉本 裕紀 石橋 慶章 古賀 史記 室屋 大輔 宗 祐人 森光 洋介
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.502-508, 2021 (Released:2021-07-29)
参考文献数
14

症例は70歳代の男性,左水腎症にて他院外来通院中であったが,背部痛が増悪し当院紹介受診となった.精査の結果,S状結腸癌,転移性肝腫瘍(外側区域),原発性左尿管腫瘍の診断となった.S状結腸癌の狭窄が切迫していたため,肝切除は二期的に行うこととし,まず後腹膜鏡下左腎・尿管切除術および腹腔鏡下高位前方切除術(D3)を施行した.術後経過良好で術後第13病日に退院となった.術後の病理所見で,尿管癌は原発性ではなく大腸癌からの転移性腫瘍と診断された.術後のCT検査で切除した左腎付近に腫大したリンパ節があり,転移・遺残が否定できなかったためPET-CTを施行したところS4-5レベルに仙骨骨転移を認めた.転移性尿管腫瘍は高率に遠隔転移を伴い予後不良であるため,集学的治療目的に当院がん治療センター紹介となり現在加療中である.