著者
田中 ミチコ 森 宏枝 石澤 敬子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.49-53, 1982-12-20
被引用文献数
2

海藻は一般に消化吸収が悪いとされているが,溶媒の種類によるアミノ酸,糖質,カルシウムの溶出状態,また,タンパク質分解酵素を作用させた時のアミノ酸,及び二次的に遊離される糖質,カルシウムがどの程度利用されるか実験を行った。1 カルシウムの溶出率が高く,7〜100%を示し,酸性溶媒によく溶出し,食酢ではアサクサノリ100%,マコンブ,トサカノリ,ワカメ,ヒジキは約30%であった。アミノ酸は3〜10%の溶出率で,溶媒の違いによる差はほとんどなかった糖質はマコンブの食酢による溶出のみ3.7%で,他は1%以下とわずかな溶出率であった。2 pepsin消化では,アサクサノリが7.6%の消化率であったが,他の試料は1%以下であった。pancreatin消化では,ワカメ44%,トサカノリ,アサクサノリ26%,マコンブ,ヒジキが2〜3%の消化率であった。3 タンパク質分解酵素作用にともない二次的に遊離した糖質,カルシウムは,pepsinよりもpancreatin作用により多く遊離したが,いずれも低い遊離率であった。4 pepsin pancreatin作用によるアミノ酸,糖質,カルシウムの利用率は,それぞれ14〜55%,約1%(トサカノリのみ9%),23〜68%であった。全試料中,アサクサノリは高い利用率を示し,これに対し,ヒジキは低い利用率を示した。