著者
石田 理永
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成12年度は、環境外乱による地盤震動特性のマスキング現象の解明に向け、実験的・解析的双方の側面からの検討を行った。実験的検討としては、平成11年度に構築したリアルタイムの交通流記録システム(池上通信機(株)・ZPC-104他)と、既存の地盤振動モニタリング・収録システムを連動させ、道路交通に起因する地盤振動と交通流との相関の抽出を試みた。その際に、補助的に騒音も計測するのが良いと考え、新たに積分形普通騒音計(リオン(株)・NL-06)を購入した。当初の研究計画では、数パターンの敷地と道路との取り合いをフィールド調査の上選択して、地盤振動・交通流同時計測を実施する予定であったが、振動・映像・騒音同時計測手法の工夫・習得にじっくりと時間を費やしたため、千葉市内の計155箇所においてフィールド調査は行ったものの、同時計測としては、今年度の段階では、千葉大学西千葉キャンパス南門付近の平面道路と敷地境界における検討のみとなった。交通外乱による地盤振動を適切に説明するためは振動源特性(走行速度・積載状況・車種・路面凹凸等)まで遡って一台一台の車両走行状況を精度良く把握することが鍵となるため、現在、同時刻における敷地境界での振動・騒音と映像のパターン分類と、波形・スペクトルの定常的、非定常的特性の考察を進めており、今後に繋がる成果が出つつ有る。解析的検討としては、平成11年度に地盤振動計測を実施した東京都墨田区鐘ヶ淵周辺の敷地の1つである、高架道路に面した公園について、既存の動的相互作用解析コードSASSIを使用し、高架道路の複数橋脚による伝播波動の重ね合わせに関する検討を行った。推定加振力による平行成層地盤上の複数橋脚基礎同時加振の結果は、橋軸直交測線上の地盤振動観測記録を定性的・定量的に説明しており、環境外乱による地盤震動特性のマスキング現象の一端を解明することができた。