著者
千綿 教夫 中島 玉恵 佐藤 伸子 石田 禮載 杉下 匡 天神 美夫
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.583-588, 1981-07-25 (Released:2011-01-25)
参考文献数
26

子宮頸部Verrucous carcinomaは, 扁平上皮癌の稀有な一亜型である. 疣贅状腫瘤形成著明な悪性進展, 頻回の再発傾向, しかも稀な局所転移と, 全くみられない遠隔転移, コルポ診上の明らかな浸潤癌像に対し, 細胞診陰性, しばしば過少診断される生検組織診上の良性判定など, 特異な臨床像をもっている.50歳4妊2産婦の子宮頸部にみられた本症の1例を報告した. 細胞診には, 軽度の核異常細胞以上の悪性像は認められないが, 炎症, 悪性所見をみない比較的きれいな背景のなかの大きさ, 形状に全く統一性を欠いた無数の角化片, 真珠形成, 角化細胞, 中層型細胞の細胞質内空胞の存在, および頸部擦過細胞診と頸管内擦過細胞診とが全く同様な角化の強い所見であったことなどは, 留意すべき点であろうと思われた.
著者
葉 清泉 田中 博志 有松 直 浜井 潤二 北園 正大 西田 敬 西村 治夫 有馬 昭夫 薬師寺 道明 加藤 俊 石田 禮載 天神 美夫
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.549-556, 1984-04-01
被引用文献数
1

上皮内癌,Ia期癌およびIb期癌のコルポスコピー所見を詳細に分析し,更に点数評価による組織推定診断を試みたところ次の結論を得た.1.コルポスコピー点数1〜10点を上皮内癌,11〜18点をIa期癌および19点以上をIb期癌とし,点数評価による組織推定診断を試みたところ上皮内癌66.7%,Ia期癌59.4%およびIb期癌76.5%の正診率であった.2.上皮内癌のコルポスコピー所見は腺口を有する白色上皮とそれに伴なう葬薄な白色上皮.赤点斑およびモザイクが特徴的で,白色上皮単独で出現することが多かった.3.Ia期癌のコルポスコピー所見は異型血管,不規則た血管を有する赤点斑および異常線口の集合からなるモザイクが特徴的で,各種所見が合併および重複して複雑た外観を呈することが多かった.4.Ib期癌のコルポスコピー所見は浸潤癌所見が主体で,白色上皮,赤点斑およびモザイクが認められないことが多かった.比較的浸潤が浅いIb期癌ではコルポスコピー所見の複雑性が認められIa期癌との鑑別は困難であった.5.Ia期癌およびIb期癌になると,コルポスコピー異常所見が移行帯のほとんど全域を占め外側では扁平上皮あるいは晩期化生上皮に接し,内側に正常所見が認められないことが多かった.