著者
石飛 マリコ 越田 美穂子 尾形 由起子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.5_13-5_24, 2013-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

本研究は,高齢な親と同居している男性統合失調症患者が「自立」に向かうプロセスを明らかにすることを目的とした。男性統合失調症患者7名に半構成的面接を行い,M-GTAを用いた分析の結果,【頼みの綱は親の支え】【親のかかわり変化の気づき】【ケアされる側からケアする側への行きつ戻りつの逆転】【親への依存と自立の混在からの葛藤】【つきまとう病の存在】【気負わない親子関係】【社会のなかの居場所の獲得】【親が他界することへの前準備】の8つのカテゴリーが生成された。【親のかかわり変化の気づき】【ケアされる側からケアする側への行きつ戻りつの逆転】【社会のなかの居場所の獲得】が「自立」に影響していた。 男性統合失調症患者と親との立場の逆転が生じていることを肯定的に受け止め,自信や意欲の向上につなげること,社会から孤立しコミュニケーションが乏しく,ストレス対処方略が少ない男性統合失調症患者の特徴を踏まえた支援が必要である。