著者
宮城 直人 大島 永久 白井 俊純 砂盛 誠
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.72-75, 2006-03-15

症例は74歳,女性.57歳時に心房中隔欠損症でパッチ閉鎖術を施行している.2001年7月,僧帽弁閉鎖不全症(MR),三尖弁閉鎖不全症(TR)に対し僧帽弁置換術(CEP 29mm),三尖弁形成術(Cosgrove ring 32mm)を施行した.術後徐脈性心房細動となりペースメーカーを挿入した.同年12月,人工弁感染性心内膜炎(PVE)を発症したが投薬治療で軽快した.2002年3月8日発熱,背部痛出現,Streptococcus agalactiaeによるPVE,化膿性脊椎炎の診断で入院となった.抗生剤にて炎症反応が沈静化したのち,5月16日再僧帽弁置換術(CEP 27mm),ペースメーカーリード抜去,心筋電極植え込み術を施行した.1カ月のペニシリンG,ゲンタマイシン点滴静注ののち,経口薬に変更,術後第104病日に軽快退院した.感染性心内膜炎と化膿性脊椎炎の合併は,本邦では報告例は少ないが,念頭に入れ,診断・治療を行う必要がある.