- 著者
-
守田 孝恵
磯村 聰子
- 出版者
- 山口大学医学会
- 雑誌
- 山口医学 (ISSN:05131731)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.17-24, 2017-02-01 (Released:2018-03-27)
- 参考文献数
- 24
【目的】1分単位のタイムスタディによって,保健師の日常業務の内容と時間量を明らかにする.【方法】市の保健師を対象に始業から終業までのタイムスタディの連続観察法を実施した.毎分0秒になった時点の保健師の行動・言動を観察記録し,「データ」とした.「データ」の内容が変化した時点で,区切り「場面」とし,その意味を表す「活動内容」を生成し時間量を明らかにした.対象者に厚生労働省保健師活動領域調査の様式に記入してもらい,問題点等を聞いた.【結果】業務時間は526分,場面は75であった.活動内容別時間量は,「住民との関わり」は130分で業務全体の24.7%であった.「地域への働きかけ」は,81分(15.4%),「個別ケースの評価検討」は50分(9.5%),「地域活動のための職場内の相談」は,71分(13.5%)であった.活動領域調査様式への記入は,保健福祉事業4時間,コーディネート2時間,業務連絡・事務2時間で,感覚的に振り分けられていた.【考察】「地域活動のための職場内の相談」「個別ケースの評価検討」は,業務の中で人に学ぶ能力開発である.それらに約2時間を費やしており,日常業務で実践力が培われている実態が浮き彫りとなった.業務の間の分単位の相談・共有・報告等の時間確保が能力開発には重要であることが明らかとなった.保健師活動量をより正確に調査をするには,職場における地域活動のための相談や個別ケースの評価検討の時間を計上できる項目が必要であると考えられた.