著者
磯部 敏宏
出版者
Japan Society of Colour Material
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.137-140, 2023-04-20 (Released:2023-04-29)
参考文献数
27

負の熱膨張率を有する材料(負熱膨張材料)は,複合化することで,材料の熱膨張率を制御できることから,盛んに研究されている。Zr2SP2O12は,負熱膨張材料の二つの主メカニズムを相転移タイプ(373から453 K)とフレームワークタイプ(303から373 Kと453から773 K)の両方を有するユニークな材料である。広い温度域で比較的低い熱膨張率を有することから,当該分野で有望な材料と期待される。本稿では,Zr2SP2O12の収縮メカニズムを解説するとともに,Zrサイトの元素置換による熱膨張率の制御について紹介した。