著者
神田 武利
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.175-192, 2010 (Released:2010-04-29)
参考文献数
35

シリカをシリコーンポリマーでコーティングした後,二重結合を有する各種化合物を白金触媒下で反応させることにより,ポリマーコート型カラム充填剤を合成した.ポリマーコーティングは,シリカの細孔をつぶすことなく,約7 Åの薄膜で行われていた.本充填剤は,シリカ系カラム充填剤の特長である分離性能をもつと同時にアルカリ性条件下でも使用可能であり,シリカ系とポリマー系充填剤の両方の利点を有していた.またポリマーコーティングは,残存シラノール基の影響を最小限に抑制し,ポリマーコーティング量とC18導入量を最適化したポリマーコート型C18充填剤は,メタノール及びアセトニトリル系の中性移動相下においても,強塩基性化合物であるアミトリプチリンのピーク形状は良好であった.ポリマーコート型カラム充填剤はシリカ基材の表面の活性をコーティングによって不活性化しているため,一般的な化学結合型カラム充填剤と比較して,ロット再現性も良好であった.