著者
福元 重太郎 猪島 一郎 藤田 昌樹 桑野 和善 中西 洋一
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.571-575, 2005-08-15
被引用文献数
10

症例は74歳女性。平成15年3月から10月まで当院総合診療部にて非結核性抗酸菌症(以下NTM症と略す。分離菌は<I>Mycobacteriumintreceltulare</I>)の加療が行われた。平成16年5月より喀痰・咳嗽が増悪し,NTM症の再燃と診断され6月14日に呼吸器科入院となった。胸部CTではぴまん性粒状影の増加と右肺に空洞・気胸・胸水の出現を認めた。喀痰にてガフキー陽性(集菌法にて3+),PCR法にて<I>M.intracellulare</I>陽性,また,胸水ADAが147IU/Lと高値であった。胸水から<I>M.intracellulare</I>は検出されなかったが,喀痰や胸水の検査から他の感染症を示唆する結果が得られなかったのでNTM症に対する加療を開始した。気胸,胸水は治療に伴い消失したことより気胸と胸膜炎はNTM症に合併したものと考えた。NTM症に胸膜炎が合併するのは稀であり, さらに気胸が合併したという報告はきわめて稀であり貴重な症例と考えられた。