著者
福富 隆志 油川 さゆり
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-11, 2023-01-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
23

本研究では,フィードバック(FB)の提供と改善支援がスピーチのパフォーマンスに及ぼす効果を,制御焦点の適性と評価観との交互作用の観点から検討した.大学生を,FB に基づいて問題点と改善策を考えさせる条件(FB・改善支援条件),FB の提供のみの条件(FB 条件),問題点と改善策を考えさせるのみの条件(改善支援条件)に20名ずつ振り分けて,スピーチのパフォーマンスに及ぼす効果を比較した.その結果,言語的パフォーマンスについて,改善的評価観(評価とは学習改善に活用するためのものであるという認識)が低い参加者はFB・改善支援条件で最も高く,促進焦点の適性と改善的評価観が高い参加者はFB 条件で最も高かった.改善的評価観が低い人は,FB の活用を促す支援によりFB に注意を向けて改善に活かす一方で,促進焦点の適性と改善的評価観が高い人は,FB の提供のみで改善を行う傾向にあることが示唆された.