著者
福岡 佳宏 門脇 誠三 杉本 利嗣 馬場 久光 深瀬 正晃 藤田 拓男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.580-585, 1987

遺伝性高チロジン血症・慢性型の38才女性の1症例を報告する.いとこ婚両親の第2子で, 2才頃くる病で発症し全身性色素沈着を伴い,思春期に急性間歇性ポルフィリン症様発作を経て骨痛を主訴とした.著明な骨軟化症,多発性尿細管障害(de-Toni-Debre-Fanconi症候群),肝硬変,高チロジン血症,尿中δ-アミノレヴリン酸高値を呈した.尿有機酸分析ではρ-hydroxyphenyllactic acid, p-hydroxyphenylacetic acid, p-hydroxyphenylpyruvic acid, N-acetyltyrosineが異常高値を示し, succinylacetone, succinylacetoacetic acidが検出されfumarylacetoacetase deficiencyが示唆された.ほぼ無治療のまま38才に至る異例な長期経過を辿った.