著者
山際 幹和 福生 治城 坂倉 康夫 三吉 康郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.1307-1319, 1983-04-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

咽喉頭異常感症女性例50例を東洋医学的診断を行うことなく, 西洋医薬と同様の概念でツムラ半夏厚朴湯 (7.5g/日, 14日間連日経口投与) を用いて治療した. 自覚症状の改善率が80%以上を著効, 50%以上を有効, 30%以上をやや有効, それ未満を不変として効果を判定した. その結果, 著効, 有効およびやや有効率は, 1週目で各々26%, 26%, 8%, 2週目で各々42%, 16%, 12%, 又, 3週目 (休薬後1週目) で各48%, 18%, 6%であった. 1例に副作用らしき症状 (嘔気) がみられた. 種々の点から治療成績の分析を行ったところ, 発症より本剤による治療開始までの期間が短い例ほど有効率が有意に高いことが判明したが, 本剤の作用機序を類推するには至らなかった. 西洋医学的診療に加え, 東洋医学的診療を行うことにより, 本症の治療成績は明らかに向上するものと考えた.