著者
福田 芳樹 堂坂 浩二 石井 雅樹 伊東 嗣功
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin182, 2020 (Released:2020-06-19)

人間同士の感情コミュニケーションを活性化させることを狙いとして,対話相手の感情を認識するだけでなく,感情判断理由を応答することができる会話ロボットの研究に従事している.そこで,本研究では,文章とその書き手の感情が入力されたとき,感情の生起要因を含む文を抽出するシステムについて報告する.このシステムを開発するため,まず,20万件の事例文から成る感情生起要因データベースを構築した.システムは,入力文と感情生起要因データベース中の文の類似度を文のベクトル表現のコサイン類似度によって計算し,感情生起要因となる入力文を抽出する.従来のbag of wordsによる文ベクトルと,BERTによる文ベクトルを用いた場合を比較し,BERTによる文ベクトルを用いたほうが,感情生起要因の抽出性能が向上することを示した.しかし,エラー分析の結果から,データベースの質と量を改善する必要があることが分かった.