著者
福田 芳樹 堂坂 浩二 石井 雅樹 伊東 嗣功
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin182, 2020 (Released:2020-06-19)

人間同士の感情コミュニケーションを活性化させることを狙いとして,対話相手の感情を認識するだけでなく,感情判断理由を応答することができる会話ロボットの研究に従事している.そこで,本研究では,文章とその書き手の感情が入力されたとき,感情の生起要因を含む文を抽出するシステムについて報告する.このシステムを開発するため,まず,20万件の事例文から成る感情生起要因データベースを構築した.システムは,入力文と感情生起要因データベース中の文の類似度を文のベクトル表現のコサイン類似度によって計算し,感情生起要因となる入力文を抽出する.従来のbag of wordsによる文ベクトルと,BERTによる文ベクトルを用いた場合を比較し,BERTによる文ベクトルを用いたほうが,感情生起要因の抽出性能が向上することを示した.しかし,エラー分析の結果から,データベースの質と量を改善する必要があることが分かった.
著者
石井 雅樹 佐々木 裕也
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.757-770, 2015-10-15 (Released:2015-11-13)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ロボットが人間の生活環境で自律的に行動するためには環境地図が必要となる.従来提案されている環境地図構築手法は,形状情報のみから環境地図を構築している場合が多い.しかし,形状情報のみを使用した場合は,長い廊下環境のような幾何学的特徴の少ない均一な環境において自己位置の候補が複数発生し,推定が困難であるという問題がある.そこで本論文では,自己位置の推定に有用な情報として視覚情報に着目し,画像情報のみを用いた自己位置推定手法について検討した.提案手法では,事前に環境中で取得した全方位画像データを教師無し学習アルゴリズムである自己組織化マップを用いて学習し,位置推定識別器を構築する.ロボットは,自身の移動中に観測した画像が環境中のどのエリアで取得可能であるかを位置推定識別器により判断する.本稿では,幾何学的特徴およびパターンやテクスチャ等の視覚情報の多い室内環境と,幾何学的特徴が少なく視覚情報も乏しい廊下環境を対象として,位置推定識別器の有用性について検証した.