著者
岩田 学 近藤 和泉 福田 道隆 橋本 賀乃子 相馬 正始 八戸 善直
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.372-377, 1998-10-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

片麻痺患者に見られる緊張性足指屈曲反射 (TTFR) に対する inhibitor bar の効果について検討した. 対象は慢性期の片麻痺患者で, 短下肢装具を着用し, 独歩可能な患者16名とした. この16名をTTFRが認められるTTFR群8名とTTFRが認められないCONTROL群8名に分け, 短下肢装具への inhibitor bar 装着前後で, 最大歩行速度が変化するかどうかについて比較検討した. その結果TTFR群では inhibitor bar 装着により, 最大歩行速度が14.5%向上し, stride length で6.75%, cadence で6.8%の増加が認められた. CONTROL群では, いずれも有意な増加を認めなかった. TTFRが認められる片麻痺患者では, inhibitor bar の装着により歩行能力の向上が期待できることから, その積極的な活用が望まれる.