著者
浦瀬 篤史 上田 敬博 生越 智文 岩本 博司 福田 隆人 一ノ橋 紘平
出版者
日本救命医療学会
雑誌
日本救命医療学会雑誌 (ISSN:18820581)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-6, 2023 (Released:2023-03-08)
参考文献数
13

【背景】 全国的に熱傷患者はIH (電磁誘導加熱 : induction heating) や温度設定式給湯器などの普及や, 安全技術の進歩により減少している. 熱傷センターを開設して1年が経つが, 南河内地域を診療圏とする当センターには多くの小児熱傷の患者が受診・搬送されている. 熱傷患者が減少している昨今, なお発生する小児熱傷の原因を精査して発生予防や啓発のためこれらを分析した. 【対象と方法】 2018年9月から2019年9月までに当センターに搬送された熱傷患者は60例で, そのうち18歳未満の23例の小児熱傷について就学児と未就学児の2群に分けて, 性別・TBSA (熱傷面積 : Total body surface area), 受傷時間, 受傷機転について有意差の有無を評価した. 全ての検定はEZR (埼玉, 日本) を用いて行った. 【結果】 主要評価項目として, 未就学児と就学児間で, TBSA には有意差を認めなかった (P=0.78) . しかし, 未就学児に比べて就学児では男児の割合が多かった. 23例の受傷機転としては高温液体によるものが16例と最多であった. 高温液体による受傷の多くは食事時間と重なっており, 夕食時が最多であった. 【考察】 小児熱傷では重症例は少なかった. 未就学児童が多く, 食事時間帯に好発し, 高温液体による受傷が最多であった. これらの情報を基に注意喚起するべきだと考えた.