著者
齋藤 博行 秋場 善憲 早坂 崇
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東北支部会報 (ISSN:09117067)
巻号頁・発行日
no.51, pp.3-4, 2008-12-20

水稲の省力低コスト化を図るため、機械移植栽培の株間を30cmに広げた尺角植えの疎植栽培は、慣行栽培よりも育苗箱使用が10箱程度で半分であり、種子量、培土量、肥料、農薬等の資材経費の半減になるほか、育苗施設や育苗管理労力も削減可能である。これにより、余剰労力の他部門への活用や水田経営規模拡大が見込める。なによりも、田植え時の育苗箱運搬や苗補給労力も大幅に削減されることより、高齢な補助者にとっては大幅な労働軽減になる。暖地における穂数型品種の疎植栽培については、品質向上・増収効果が確認されているが、東北地域の寒冷地である山形県の奨励品種である「はえぬき」は偏穂重型品種であることから初期茎数確保が遅れた場合の減収への不安があった。本報告は、平成16年から19年までの4ヵ年にわたる株間30cmの疎植栽培を農家圃場で調査を実施し、生育の特徴及び収量性について取りまとめたものである。