著者
秋山 貢佐 星川 広史
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.193-197, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
17
被引用文献数
2

鼻噴霧用ステロイド薬はアレルギー性鼻炎の薬物治療において重要な位置を占める薬剤である。鼻噴霧用ステロイド薬は即時相,遅発相の症状を共に軽減し,アレルギー性鼻炎の3主徴であるくしゃみ,鼻漏,鼻閉のすべてに対して有効とされるが,適正に使用されずに効果が十分に発揮できないことが少なくない。患者のアドヒアランスの低下には鼻噴霧用ステロイド薬の使用感に対する不満が要因となることがあり,各薬剤の特性を理解し患者の満足度を向上させるように処方を行うことが重要であるが,使用感に関心を持つ医師は少ないと考えられる。近年,1日1回タイプの新規薬剤が国内で使用可能になり,アドヒアランスの向上が期待されるが必ずしも期待通りに患者の満足度や使用率が向上しているとは言えないのが現状である。1日1回タイプの新規薬剤としてFluticasone Furoate,Mometasone Furoate,Dexamethasone Cipecilateが本邦では使用可能となり,これらの薬剤の臨床効果に関する検討は多くあるが,使用感に関して検討したものはわずかである。薬剤の使用感とアドヒアランスには密接な関係があり,本稿ではこれまでの報告や自験例を基にして,これらの事柄について述べる。