著者
今岡 照喜 秋田 幸穂 永嶌 真理子
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.3, pp.369-378, 2021-06-25 (Released:2021-07-20)
参考文献数
34
被引用文献数
3

愛媛県岩城島の白亜紀エジリンアルビタイトより稀なK–Zr珪酸塩鉱物であるデーリー石とLi–Na–Zr珪酸塩鉱物であるゼッツェル石が見いだされた。デーリー石とゼッツェル石のEPMA分析結果からそれぞれ(K1.93Ba0.01)Σ1.94(Zr0.99Hf0.02)Σ1.01Si5.98O15およびNa1.03(Zr0.96Hf0.02Y0.01Sc0.01)Σ1.00Li1.02(Si5.95Al0.04)Σ5.99O15の実験式が得られる。多孔質ジルコン,デーリー石,および不安定なジルコンを被覆するゼッツェル石の産状から,このアルビタイトは熱水活動時期におけるNa,K,Liに富んだ流体によるジルコニウム鉱物の分解と沈殿による交代反応の記録をよく保存している。これは日本列島におけるデーリー石とゼッツェル石産出の最初の報告である。