著者
辻 英明 種池 与一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.19-25, 1988
被引用文献数
2

昆虫脱皮阻害物質のジフルベンズロン(デミリン[○!R])によるゴキブリ防除の可能性を評価するために室内実験を行った。25%水和剤を水でうすめた20ppm液に浸し乾燥させたろ紙を休息場所とすると, チャバネゴキブリ1齢幼虫は脱皮異常を起こし100%死亡した。一方, 実験動物用粉末飼料に100ppm相当混合して与えても100%の死亡率は得られなかった。休息場所処理の効果は, ワモンゴキブリ1齢幼虫, チャバネゴキブリ終齢幼虫でも示された。チャバネゴキブリ終齢幼虫に対し, 1頭あたり2.5μgのトピカルアプリケーションで♂76%, ♀62%が死亡した。26℃で経過させたワモンゴキブリの1齢幼虫では脱皮4日前, チャバネゴキブリ終齢幼虫では脱皮3∿6日前が最も感受性が高く, その時期に処理ろ紙を1日与えるだけで後日100%の死亡が起こった。成虫は500ppm液によるろ紙処理でも死亡せず, 卵鞘の生成も阻害されなかったが, その卵鞘からは幼虫がふ化しなかった。経済性次第で本化合物の利用検討が考えられる。