著者
稲又 泰代 宮林 郁子 古家 伊津香 大関 春美 池田 よし江
出版者
清泉女学院大学
雑誌
清泉女学院大学看護学研究紀要 = Seisen Jogakuin College Journal of Nursing (ISSN:24362379)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-51, 2021-03-31

高齢者の透析医療における意思決定支援に関する看護師の役割と課題を検討するために文献検討を行った.その結果,意思決定支援に関する看護師の役割では,透析療法適応と宣告された患者は,衝撃と不安から悲観的感情や絶望感をもち,意思決定までに時間を要する.看護師は,患者が腎代替療法を受けるか否か,患者や家族の思いや考えを十分に聞き,患者がどのようにしたいのか,家族が患者を支えるにはどのような支援が必要になるのかを十分に話し合うことが重要である.チーム医療のキーパーソンである看護師は,医師や訪問看護師と連携しながら,患者が療養生活を送れるようにコーディネートの役割やリーダーシップなどが求められていることが示唆された.また今後,高齢化社会に伴い,認知症などで患者自身が意思決定することが困難になることが予測され,高齢者の透析導入・非導入,透析を中断するか否か,緩和医療による看取りという方針が妥当か否か,早い時期からアドバンス・ケア・プランニング (以下ACP)が重要であると考える.