著者
宮脇 美保子 宮林 郁子 谷垣 静子 酒見 隆信
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

看護師がとるべき倫理的行動について判断できているにもかかわらず、その判断に従って行動できないことにより生じる「倫理的悩み」についてのインビューを中堅看護師を対象に行った。データをM-GTAを用いて分析した結果、【患者の尊厳を傷つけること】【看護師の都合を優先すること】【必要なケアを省略すること】【ケアの公平さを欠くこと】【患者に対して誠実さを欠くこと】【組織から行動を制約されること】の6つがカテゴリー化された。「倫理的悩み」は看護師に〈後ろめたさ〉〈あきらめ〉〈無力感〉〈感情の平坦化〉といった心理的ダメージを与え、看護の質に影響を及ぼしており、倫理的支援システム構築の重要性が明らかとなった。
著者
稲又 泰代 宮林 郁子 古家 伊津香 大関 春美 池田 よし江
出版者
清泉女学院大学
雑誌
清泉女学院大学看護学研究紀要 = Seisen Jogakuin College Journal of Nursing (ISSN:24362379)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-51, 2021-03-31

高齢者の透析医療における意思決定支援に関する看護師の役割と課題を検討するために文献検討を行った.その結果,意思決定支援に関する看護師の役割では,透析療法適応と宣告された患者は,衝撃と不安から悲観的感情や絶望感をもち,意思決定までに時間を要する.看護師は,患者が腎代替療法を受けるか否か,患者や家族の思いや考えを十分に聞き,患者がどのようにしたいのか,家族が患者を支えるにはどのような支援が必要になるのかを十分に話し合うことが重要である.チーム医療のキーパーソンである看護師は,医師や訪問看護師と連携しながら,患者が療養生活を送れるようにコーディネートの役割やリーダーシップなどが求められていることが示唆された.また今後,高齢化社会に伴い,認知症などで患者自身が意思決定することが困難になることが予測され,高齢者の透析導入・非導入,透析を中断するか否か,緩和医療による看取りという方針が妥当か否か,早い時期からアドバンス・ケア・プランニング (以下ACP)が重要であると考える.
著者
日高 艶子 宮林 郁子 金山 萬紀子 中村 真紀 吉村 綾子 中島 峰子 戸島 早織 松尾 佐知子 林 由香 小浜 さつき
出版者
聖マリア学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、高次脳機能障害者のセルフケアの再構築を促す看護 介入モデルの試案を検証することにある。本モデルは、注意障害、観念失行、半側空間無視、 自発性の低下に対する介入の順序性と、環境調整と主意的役割の活用という二つの介入方法を 提示し、期待できる効果の程度について示したものである。本研究においては、複数の高次脳 機能障害を呈した 8 名の患者に対して検討した。その結果、介入の順序性においては、まず注 意の集中を維持することで、患者の行動が安定し、それに伴い抑制障害や半側空間無視の改善 を認めた。介入方法においては、視覚・聴覚刺激を減少した個室環境が注意機能の持続や配分 に有効であった。主意的役割を用いた介入は、自発性の低下をきたした 3 事例において有効で あった。さらに、注意障害、半側空間無視、記憶障害の介入としても効果が期待された。今回 は得られたデータに限りがあるため、今後もモデルの検証に向けて研究を継続する必要がある。
著者
秦野 環 文珠 紀久野 宮林 郁子
出版者
聖マリア学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

身体的暴力を受けた被害者に対し、望まぬ妊娠と性感染症の予防だけでも可能にするべく、被害者とそれを取り巻くコミュニティーに対し、文化的受諾可能なメッセージを構築することを目指した。研究対象者は2007年末暴動時被害者で、質問紙調査、少人数によるグループ討議などを通じて被害状況や現状を調査・抽出した。初年度調査内容の還元、カウンセリングセッション等を行うことにより自助グループ形成とメッセージの構築に至った。