著者
南部 暁生 稲垣 静枝 小澤 伸介 鈴木 由香 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.617-634, 2003-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
54
被引用文献数
2 5 3

北大東島の礁性堆積物は,大東層と海軍棒層からなる.大東層は3つのユニットに区分される.ユニット1は主にframestoneよりなり,中央盆地に分布する.ユニット2はユニット1を不整合に覆い,2つのサブユニットから構成される.下位のサブユニット2aは,島外縁の環状丘陵地の主体をなし,主にframestoneよりなる礁芯相と,中央盆地縁辺部の急崖に露出しmdstoneの卓越する背礁相からなる.上位のサブユニット2bは,島の最高所付近に露出するframestoneとpackstoneからなる.ユニット3は東海岸に点在し,斜交層理の発達したoackstoneよりなり,下位層を不整合に覆う.海軍棒層は東海岸の標高10m以下に分布し,framestoneからなる.ユニット1は卓礁の堆積物である.サブユニット2a堆積時には,厚い環礁堆積物が形成されたが,その後,礁は著しく減退した.ユニット3堆積時,島の東部に浅瀬や造礁サンゴのパッチが広かった.海軍棒層は小規模な裾礁の堆積物である.