著者
長尾 秀夫 岩永 学 穐吉 眞之介
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.279-282, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
13

【目的】極低出生体重児 (VLBW児) の課題の一つである国語と算数の学習上の問題について, 学習習熟度テストの結果を基に検討した. 【方法】対象は10歳時にフォローできたVLBW児14名, 男6名, 女8名である. 在胎週数は平均27週6日, 出生時体重は平均988gであった. 学習習熟度テストは国語と算数の4年生修了段階の問題を外来の待ち時間に行い, 定型発達児 (TD児) と比較した. 【結果】国語の文章読解で自分の言葉で答える問題の正答率はVLBW児が42.9±51.4%, TD児が69.7±46.3%であった. 作文の正答率はVLBW児が28.6±46.9%, TD児が72.7±44.9%でVLBW児は低かった. 算数の計算法則では, 3つの数の計算の正答率はVLBW児が55.4±14.7%, TD児が66.3±15.5%であった. 文章題2問の正答率は, VLBW児が42.9±50.4%, TD児が52.9±50.1%であった. 【結論】VLBW児はTD児に比べて, 国語・算数共に文章理解に基づく思考を要する課題に困難があった. それぞれに対する教育支援のあり方を提案した.