- 著者
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藤澤 俊明
水田 健太郎
望月 亮
松村 朋香
立浪 康晴
杉村 光隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本歯科麻酔学会
- 雑誌
- 日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:24334480)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.52-65, 2022-04-15 (Released:2022-04-15)
- 参考文献数
- 9
【要約】 本邦の歯科医院における全身的合併症発症時の院内救急体制の整備状況と実態を明らかにするため,全国の郡市区歯科医師会および歯科医院を対象にアンケート調査を行った.歯科医院および回答した歯科医師会は392団体(回収率51.2%),歯科医院は392施設(回収率25.5%)であった.救急薬剤を配布している歯科医師会は48.5%,歯科医院における救急薬剤の常備率は74.5%であり,歯科医師会による配布薬剤,歯科医院における常備薬剤ともアドレナリン,アトロピン,ニトログリセリンが多かった.救急薬剤を投与した経験のある歯科医院の割合は5.6%であった.また,医療用酸素,生体情報モニタ,AEDの配備率はそれぞれ82.7%,66.3%,71.5%であった.「救急薬剤を配布している」と回答した歯科医師会190団体のうち,救急薬剤投与法の講習/研修会を開催していた歯科医師会は75.8%であった.また,過去5年間に緊急時対応・救急蘇生法の講習/研修会を開催していた歯科医師会は68.9%を占めた.歯科診療においては,生命に関わる重篤な全身的合併症を予防することはもちろん,その発症時に適切に対応するには,救急薬剤および器材を常備し,研修を怠らないことが医学的および倫理的見地から重要である.歯科医師が現実的に使用可能な救急薬剤の選定とその適正使用についての卒前・卒後教育の充実が今後の課題であると考えられた.