- 著者
-
脇屋 裕一郎
大曲 秀明
立石 千恵
河原 弘文
宮崎 秀雄
永渕 成樹
井上 寛暁
松本 光史
山崎 信
- 出版者
- 日本養豚学会
- 雑誌
- 日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.4, pp.207-212, 2014
二酸化炭素等温室効果ガス濃度の上昇に起因して地球温暖化が進行しており,夏季における我が国の養豚は影響を受ける可能性が指摘されている(高田ら,2008)。それによると,2060年の夏季には北海道を除いたほとんどの地域で日増体量が低下し,特に関東以西では日増体量の15~30%の低下が予測されている。また,平成22年度の夏季は,我が国の多くの地点で平均気温が統計開始以来最も高い記録的猛暑となり,家畜の生産に影響が出たことは記憶に新しい(農林水産省,2012)。これらのことから,豚肉生産における暑熱対策技術の確立は全国的にも重要な課題と考えられる。暑熱環境下で飼養成績を改善する手段として,飼料中のエネルギー含量を調整する取組が行われており,COFFEYら(1982)やKATSUMATAら(1996)は,飼料に油脂を添加することで,暑熱環境下の肥育豚の飼養成績が改善されるとしている。しかし,KATSUMATAら(1996)は,油脂を配合することで背脂肪厚が増加することを報告しており,油脂添加と併せて背脂肪厚を抑制できる技術の確立を検討する必要がある。著者ら(脇屋ら,2009; 2010)は,佐賀県の特産農産物である茶の製茶工程で発生する加工残さの機能性に注目し,その給与試験を行っている。それによると,慣行飼料に対して重量比で肥育前期2%,肥育後期1%添加することで,抗酸化成分であるカテキン等による肥育豚の背脂肪厚低減効果を確認しており,油脂添加のような脂肪蓄積が促進される条件下でも背脂肪厚の抑制が期待できる。