著者
立石 悌三郎 藤原 正雄 桜井 洸
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1580-1582, 1958-12-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
3
被引用文献数
2

マッコウ鯨脳油のロウとグリセリドの分別に溶出クロマトグラフィーを適用し, 吸着剤としてシリカゲルとケイソウ土の混合物(重量比2:1)を用い,溶出剤として石油エーテル-ベンゼン系溶剤を用いることによりほぼ完全に分別し得た。かくして得たロウ(S.V.:123.8,I.V.:55.7)とグリセリド(S.V.:207.0,I.V.:68.7)の脂肪酸組成を測定した結果, 両成分の組成に明らかな差が認められた。すなわち, ロウ脂肪酸の主成分はオクタデセン酸(19.8%),ミリスチン酸(17.0%),ヘキサデセン酸(16.0%),テトラデセン酸(11.8%),ラウリン酸(11.4%)であり,グリセリド脂肪酸の主成分はヘキサデセン酸(28.5%),オクタデセン酸(26.1%),パルミチソ酸(18.1%),ミリスチン酸(10.3%)であった。総括してロウ脂肪酸はグリセリド脂肪酸に比較して平均炭素鎖が短く, 飽和酸が多いことを認めた。