著者
立脇 一美
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.16, pp.157-176, 2008

介護に従事する職員の職務満足度は,上司・同僚・利用者との相互関係や,事業所の運営方針によって大きく推移する。今回,既存文献も希少である「特定施設入居者生活介護」に従事する職員を対象に,一定の論証を得るために,職務価値に関しての聞き取り調査を実施した。その結果,「特定施設入居者生活介護」に従事する職員は,日々複数の職務不満足を体感し,他職には見られない特有の職務価値や悪循環を形成していることが明確となった。職務不満足に関するファクターを,「組織風土」から派生するもの,「他者関係」から派生するもの,「自分自身の内的感情」から派生するものという三層構造として,その概念枠組みの検討を行った。
著者
立脇 一美
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.16, pp.177-196, 2008

介護福祉士を目指す学生は,年々減少している。今回,短期大学系の介護福祉士養成校の在学生を対象に,介護福祉に興味を抱き始めた契機から,養成校受験に至るまでの意識形成過程の分析を行った。その結果,「個人の生育歴や生活歴といった外的環境因子」と「個人の有する職業観」といった二つの要因が折り重なり,意識が形成されていくことがわかった。前者には,個人の生まれ育った家庭環境や,中学や高等学校で学び得た福祉に関する知識・体験,保護者の職業意識,進路を意識した時代背景などが含有され,意識形成の基礎要因となっていた。後者では,介護職に対し「やりがい」を追及し,他者の役に立ちたいという動機が検出できた。学生は,社会的雑念に翻弄されることなく,純粋に自分らしく生きる一つの手段として,養成校を受験する意識を形成していくことが明確となった。