著者
立花 吉茂
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.409-416, 1976
被引用文献数
2

1. ムクゲの54栄養系の花型を調査し, その外部形態から次の3群•9型に分類した.<br>I. 一重咲群 (25系統)<br>I-a 細弁型 (7系統)<br>I-b 中弁型 (13系統)<br>I-c 広弁型 (5系統)<br>II. 半八重咲群 (20系統)<br>II-a 祇園守型 (ぎおんまもり) (4系統)<br>II-b 花笠型 (はながさ) (7系統)<br>II-c バラ型 (9系統)<br>III. 八重咲群 (9系統)<br>III-a 乱れ咲型 (みだれ) (2系統)<br>III-b 菊咲型 (きく) (3系統)<br>III-c ポンポン咲型 (4系統)<br>2. 一重咲群は, つねに基本数 (5) の花弁の花を持つもの9系統, 5ないし6枚の花弁の花を持つもの12系統, 8ないし11枚の花弁の花を持つもの4系統からなる. 花弁数が, 基本数の2倍に達しても, 同じ大きさの花弁が一列に並ぶため外観上は一重咲である. この群の花の大きさはもつとも変異に富み, 直径7.6cmから13.3cmまで連続した (第1表, 第1,2,3および6図).<br>3. 半八重咲の花は, 内弁が外弁よりも小さいものである. 内弁が小さく, 数の少ないものをII-a (祇園守型), 内弁数の多いものをII-b (花笠型) とした. II-c(バラ型) は, 内弁がやや大きく, 雌ずいの弁化が加わつている系統もあつた. II-aは一重咲同様にねん性があり, II-bはあまり結実を見ず, II-cはまつたく不ねん性で結実しない (第2表, 第4,5図).<br>4. 八重咲群の花は, 外弁と内弁がほぼ同じ大きさのものである. III-a (乱れ咲型) は, 花柱の弁化した花が全体の約1/3を占め, III-b (菊咲型) は, 花弁が小さくて, 多少規則的に配列し, 花柱の弁化した花は全体の1/2~2/3に達した. III-c (ポンポン咲型) は, 小球形で花弁はもつとも小さいが, 花弁数はもつとも多く, 花柱の弁化はすべての花に及んだ. III-c型のいくつかの系統には貫生花が存在し, これらの花は70枚以上の花弁数があつた (第3表, 第7,8図).