著者
賀 菊方 端川 勉 木内 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.177, pp.23-30, 1995-07-22

われわれはネコの大脳皮質聴覚野のDorsal Zoneにおいて多数の聴覚刺激に対して50から200msの長い潜時で応答するニューロンを発見した。これらのニューロンは異なった継続時間長のノイズ・バーストあるいはクリック音に対する応答に基づき、位相チューニングニューロンと時間積分処理ニューロンとに分類された。実験結果に基づき、時間域聴覚情報処理機構のモデルを構成した。このモデルの計算機シミュレーションの結果は実験結果とよく一致した。この結果、1、聴覚系に音声刺激に対する時間軸が存在していること、2、聴覚信号は時間域で短く分割され、並列に聴覚中枢に伝送されることが推測される。