著者
上間 智博 松元 秀次 種田 沙織 竹下 可奈子 川平 和美
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-111, 2011-04-01 (Released:2013-09-15)
参考文献数
15

脳卒中片麻痺患者の歩行は非対称性を特徴としているにもかかわらず,歩行指導は対称性歩行を目指して麻痺側へ荷重を促す方法が一般的である.本研究は,片麻痺患者の歩行について,麻痺側下肢への荷重をコントロールした 3 種の歩行パターンで歩行効率の検証を行った.対象は脳卒中片麻痺患者 16 名で,短下肢装具とT字杖を使用し,少なくとも監視レベルで歩行可能な症例とした.評価は 10 m 歩行における速度とケイデンス,ビデオ画像の動作解析による歩行立脚期の側方変位距離,歩行パターンによる歩行周期の変化(健側と麻痺側の立脚期割合,単脚支持期割合,1 歩時間,歩幅の患側/健側比,重複歩時間)を行った.3 種の歩行パターンのうち非対称性歩行(健側優位歩行)に比べ,対称性歩行(麻痺側歩行)が歩行速度,歩行立脚期の側方変位距離,歩行周期の変化で歩行効率低下を示した.以上のことから,過度に麻痺側へ健側と同様に荷重することは重心移動を妨げ,歩行速度や歩行効率低下につながると推察される.