著者
平井 誠也 竹中 郁子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.144-154, 1995-12-10 (Released:2017-07-20)

本研究は, 子どもにおける描面行動の発達的変化を明らかにしようとする試みである。4歳児, 5歳児, 6歳児, 7歳児, 8歳児, 9歳児とも, それぞれ同一の3種類の課題を与えられた。最初は一組のカードの中から, 彼らが最も円筒形を表していると思う線画を選択することであり, 第二は, 彼らが最も描きたいと思う円筒形を表した線画を選択することであり, 最後は, 円筒形をクレヨン (幼児) または鉛筆 (児童) で描くことであった。3種類の課題のうち, 認知課題は最も簡単な課題であり, 5歳から6歳にかけて急激な発達を示した。次に困難だったのは構想課題であり, 6歳から7歳で急激な発達があった。描画課題は最も困難で, 9歳児の30%しか遠近画法によって円筒型を描画することができないことが示された。幼児および児童の円筒形の描画が認知一構想 (プランニング) 一描画の3つの過程を中心として, その関係が分析され, 発達的に考察された。