著者
内川 久美子 竹井 孝文 WAN Wenhan 山口 宣夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.75-83, 2011 (Released:2011-10-19)
参考文献数
31

大豆は 5000 年もの昔から,東洋の諸国を中心に食用に供されてきた.それ故,生体に及ぼす作用についても多くの研究が進められている.多くの有用性が示される一方で,女性ホルモンと類似構造を有することにより,性周期への影響が副作用として指摘されている.そこで,我々は良質の蛋白源としてのメリットを生かしながら低分子化大豆ペプチドを調製し,新しい機能性の研究を行うことを目的とした. 乾燥大豆ペプチド 8 gr を毎日 1 回,1 週間経口摂取し,摂取前後で採血し,生体への影響を検証した.その結果,投与前における白血球の数値には正常範囲ながらも個体差が認められた.個体差の内,投与前に高値であった場合は低下し,一方,低値の場合は増加を示し,調整作用が認められた.また,その変化率は投与前の数値に依存した逆相関を示した.さらに,大豆蛋白と大豆ペプチドそれにプラセボをダブルブラインド・クロスオーバーの手法で比較すると,この効果は大豆ペプチド,大豆蛋白の順で作用が弱まり,プラセボでは作用は認めなかった. この低分子化製剤は白血球亜群の調節並びに,リンパ球亜群に対しても調節作用を示した.CD 陽性細胞群の中では特に CD11 と CD56 陽性細胞に対して増加的な作用を示し,CD19 細胞は逆に減少を示した. 一方各種ホルモン検査では,アドレナリンの平均値はペプチドの投与で低下し,ドーパミンは逆に増加を示した. また,白血球,情動ホルモン,脳表層血流の変化がそれぞれ関連していることも明らかになった.