著者
竹内 健互
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

刑罰論は従来、応報刑論と目的刑論の対立軸の中で争われてきたが、近時、刑罰のコミュニケーション的意味に着目する「表出的刑罰論」というアプローチが主張されている。そこで、本研究では、まず、 犯罪に対する非難や否認の表出を刑罰の本質と捉える表出的刑罰論において、害悪賦課としての「科刑」は必要か、非難表出の権限が「国家」に帰属する根拠は何か、刑罰の名宛人は誰かを解明することを通じて、表出的刑罰論のあり方と課題を詳らかにする。また、表出的刑罰論では、功績概念を用いるなど、応報刑論との類似性が見られることから、両者の関係を明らかにし、表出的刑罰論が「第三の刑罰理論」たり得るかについて解明する。