著者
小林 正秀 吉井 優 竹内 道也
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.95-104, 2014

<p>カシノナガキクイムシの穿入に伴うナラ枯れ被害が1980年代以降に拡大している.被害拡大要因として気象条件も指摘されているが,統計解析に基づいた仮説はない.そこで,舞鶴市と京都市で実施された被害量調査の結果を基に,ナラ枯れ被害量の増減と気象条件との関係を単回帰分析で解析した.その結果,両地域ともで,厳冬期(1~2月)の最高気温が高いほど被害が助長される傾向が認められた.また,京都市では春期の降水量が多いほど被害が助長される傾向が認められた.さらに,舞鶴市では,6~7月の間の最低気温が20℃以上の日数が多いほど被害が助長される傾向が認められた.ただし,通説化している夏期の高温・少雨が被害を助長することを支持する明確な結果は得られなかった.</p>