著者
吉本 隆哉 杉田 早登 竹内 郁策
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-44, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
15

本研究では,ハンマー投げを模したスイングトレーニングが,外側腹筋群の形態とスイング速度に与える影響を明らかにすることを目的とした.被検者は,大学硬式野球部に所属する野手17名(年齢19.5 ± 1.5歳,身長169.8 ± 4.0 cm,体重66.9 ± 6.4 kg)とし,トレーニング群8名とコントロール群9名に分けた.スイング速度の測定は,慣性センサユニット,アタッチメントおよびスマートフォンのアプリケーションから構成されるバットスイング解析システムを用いて測定した.加えて,踏み出し脚側の外側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋および腹横筋)の筋厚を測定した.トレーニングは,5 kgメディシンボールとネットを組み合わせたものを用い,ハンマー投げのトレーニングを模した上肢および体幹を回旋させながら歩行するスイング歩行を実施した.その結果,スイング速度は両群間で有意な交互作用が認められ,トレーニング群のみ有意な増大がみられた.以上のことから,ハンマー投げを模した体幹回旋トレーニングは,野球のバッティングにおけるスイング速度の向上に有効となることが明らかとなった.