著者
竹原 秀雄 久保 哲茂 細川 一信
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.99-106, 1958

筆者らは,前に木曾地方における石英斑岩に由来する森林土壌がいちじるしくpodzol化を受けていることを報告した。御岳は,この地方の広い石英斑岩地域に接して噴出したやや基性の安山岩質岩石からなる火山であるが,気候的に石英斑岩地域とほぼ同一条件にあると思われる山体下部の土壌が,種々の点で石英斑岩質土壌といちじるしく相違する事実を認めた。<br> 安山岩質土壌はその形態的・性質的特徴からBrown. Forest Soilに属すると思われるが, Podzolic Brown Forest Soilとして区別すべき性質のものである。火山灰質土壌は草生地ではほぼ標式的なB1型土壌が多く,森林下ではかなりPodzolicである。安山岩質,火山灰質土壌いずれも地形と関連した一連のCatenaで結ぶことができる。土壌の諸特徴と現在の植生景観から,これらの土壌は石英斑岩質土壌よりも若かく,生産力は高いものと推定される。