著者
調枝 治樹 大越 祐介 竹尾 正彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.205-209, 2022-03-15 (Released:2022-03-15)
参考文献数
10

症例は79歳,男性.X年にCOVID-19に罹患し当院で入院加療を行い,第13病日に自宅退院となった.退院1週間後に右気胸を発症して,当院呼吸器内科でドレナージ治療が開始された.再入院後1週間でMRSA膿胸を併発し有瘻性膿胸として当科紹介となった.air leakは少量で発症早期の膿胸であることから胸腔鏡下肺瘻閉鎖術+胸腔内洗浄ドレナージ術を施行する方針としたが術中に肺瘻箇所の同定が出来なかったため,0.1%ピオクタニンⓇ水溶液を用いた洗浄を行って手術を終了した.術後はMRSAの浄化は得られたが,少量のair leakの遷延があったため癒着療法を3回施行した.肺瘻閉鎖が得られたため胸腔ドレーンを抜去し,術後26日目に自宅退院となった.COVID-19関連の気胸は軽快後も発症する可能性があり,易感染状態であれば膿胸を併発するリスクもあるため,適切な治療介入が必要であると考えられる.
著者
萱野 公一 北村 泰博 竹尾 正彦 森末 真八 山本 満雄 水野 裕 目黒 文朗
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.849-853, 1995-11-15
参考文献数
8
被引用文献数
6 2

症例は42歳の男性,主訴ほ血痰,1992年3月に喀血あり胸部異常陰影を指摘されていたが放置していた.1994年6月頃より血痰があり外科紹介となった.胸部X線写真で右中肺野に透過性の亢進した嚢胞様病変を認めた.先天性嚢胞性腺腫様奇形type 1の疑いで胸腔鏡下右中葉切除術を施行した.嚢胞は最大径8cmで中葉に限局し,周囲には軽度の癒着を認めた.葉間より脈管系をA^5から順次処理していき気管支はENDOGIA 30を用いて縫合切離した.術後経過は良好であった.病理組織診では肺実質内に大小の嚢胞を認め,嚢胞壁の大部分は多列線毛上皮で上皮下には平滑筋が存在したが,軟骨を欠いていた.悪性像を認めず,CCAM type 1と診断した.