著者
松山 隆司 竹村 岳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2149-2158, 1998-07-15

本論文では,多重フォーカス画像(カメラのフォーカスを規則的に変化させながら撮影した複数枚の画像)を用いた実時間3次元距離計測のためのカメラシステムの開発,距離計測アルゴリズムの提案および,それらの性能評価について述べる.以前提案した距離計測法5)では多数枚の画像を用いる必要があったが,今回提案するアルゴリズムでは,3枚多重フォーカス画像から高精度に距離計測ができる.これは,多重フォーカス画像から生成したspatio?focal画像における明度分布の対称性を利用した高精度モデル当てはめ法によるものである.さらに,このアルゴリズムでは,最適モデル当てはめを反復計算なしに求める計算法をとっており高速計算が可能となっている.論文の後半では,3枚の多重フォーカス画像を同時に撮影することが可能なカメラシシステムの開発について述べ,カメラおよびアルゴリズムの性能を実験によって評価する.一般に距離計測精度は様々なカメラパラメータに影響されるが,今回開発したシステムでは,良い条件の下での計測誤差は0.3%となっている.