著者
竹村 美鈴 柚原 一太 野島 光晴 矢野 秀典
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.F-3, 2020

<p>【背景】現在は少子高齢化社会であり、要介護高齢者が増加している。そこで、虚弱高齢者にとって、運動に対する意欲を上げ、身体機能を維持し、QOLを向上させることは重要であり、旅行がその動機付けに寄与することが考えられる。</p><p>【目的】我々は、デイサービス利用者にバス旅行を提供している。その参加者の運動への取り組みや、意識の変化を調査し、より質の高い機能訓練・介護サービスを検討することが本研究の目的である。</p><p>【方法】都内デイサービス利用者77名(年齢69 〜94歳、男性12名、女性65名)を対象とした。要介護度は、要支援1、2がそれぞれ6、6名、要介護1〜5は、同様に24、20、12、7、2名であった。本対象に対して質問紙法調査を実施した。本研究は、目白大学人論理審査委員会の承認後に実施した。</p><p>【結果】旅行の申し込み動機は、観光60名、食事36名、外出の刺激35名、買い物30名の順に多かった。一方、機能訓練の目的は15名と最も少なかった。また、59名が、旅行に行くことで日常生活に良い影響を及ぼすと考えていた。旅行に行くために運動を実施していたものは18名であった。運動内容は、平地歩行16名が最も多く、次いで階段昇降4名、坂道歩行3名であった。実施しなかった理由は、職員が介助してくれるから26名、どのように行えば良いか分からなかった22名であった。</p><p>【考察】旅行に行く目的として、機能訓練を考えている者は少ないが、この旅行がADLに良い影響を及ぼすことを期待していることが分かった。旅行のために運動を行っているものは1/4以下と少なく、実施内容も歩行など単純動作が多く、行わなかった理由も運動が分からないなど専門職のサポートの必要性が考えられた。</p><p>【まとめ】旅行のために運動を行っている者は少なく、今後、機能訓練指導員が旅行の機能訓練としての効果やその前後の運動の必要性、具体的な内容などを積極的に教示する必要性が示唆された。</p>